Yojo Column

YOJO知恵袋

Yojocolumn Keichitsu3

啓蟄(けいちつ)/
動きだす心身に、春の恵み

明治国際医療大学教授

伊藤 和憲

わらび、ぜんまい、鰆ですこやかに

啓蟄は、さまざまな植物や動物が活動しはじめる時期。
私たち人も、ハイキングなどに出かけてからだを動かしたり、何か新しいスポーツをはじめたりするのにふさわしいときです。あまり運動が得意ではないという方は、散歩でもかまいません。歩くことでも十分、血行やエネルギーのめぐりに役立ちます。自然もからだも大きく動きはじめるこのとき、疲れやすかったり、やる気がなかなか起きなかったり、ということはありませんか。もし、睡眠のリズムや活動する力に変化を感じていたら、無理に運動しようとせず、リラックスすることを心がけましょう。
この季節に旬を迎えるのは、わらびやぜんまいなどの山菜です。わらびは日当たりの良い草むらなどに群生し、ぜんまいは山すそや沢ぞいのやや湿ったところに自生。おひたしや和え物にすると美味しくいただけます。
そして鰆(さわら)も、名前どおり春の魚。焼き物や煮物、お吸い物として冠婚葬祭などの席で重宝されてきました。鰆はコレステロール値や血管のしなやかさが気になる方におすすめの食材です。

ネギや新玉ねぎではつらつと

ネギも、この時期にふさわしい食べ物です。辛味があり温性で、からだを温めるとされているので、全身のめぐりや冷えが気になる方におすすめです。また、のどをいたわったり、ストレスを和らげたり、解毒のはたらきがあることも知られています。
さらに、みずみずしくて柔らかく、甘みたっぷりで辛味が少ない新玉ねぎも、この春先から出回ります。玉ねぎを切ると目がツーンと刺激されるのは、血液をサラサラにすると期待される辛味成分、硫化アリルによるもの。水にさらすと流れ出てしまうものなので、スライスしてそのままサラダに入れたり、さっと炒めたりして栄養ごと美味しくいただきましょう。
からだが動きはじめるこの時期、いろいろな旬の食材から得たエネルギーで心身をじっくり整え、活性化させることに努めましょう。