Yojo Column

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清明(せいめい)/
活動の疲れに食の癒し

明治国際医療大学教授

伊藤 和憲

おなかの力になる発酵食品

清明は、気候から動植物まで、いろいろなものが動き始める季節です。
まずは初候、野山に花が咲きあふれ、花まつりなどの行事が盛んになる頃、つばめが日本へと渡ってきます。「初がつお」がお目見えし、行者ニンニクという希少な山菜が山奥で採れるようになるのもこのあたり。さらに次候へすすめば、雁が北へと飛び立ちます。そのため北国では、この時期の曇り空を「鳥曇(とりぐもり)」、風のように聞こえる鳥たちの羽ばたきを「鳥風(ちょうふう)」と呼ぶとか。タラの芽やホタルイカも美味しい頃です。やがて終わりとなる末候には、よく虹が見られるようになり、三つ葉や「めばる」が旬に。落葉樹のコナラが開花し、標高が高い野山まで、花や新緑に彩られます。

海山の幸が豊かになるこの時期は、つられて食欲が増してきます。さらに花見や歓迎会といったはれやかな行事も多く、知らず知らず胃腸に負担をかけてしまうことに。しっかり腸内環境をケアして、身体の内からも胃腸を気づかうことが大切です。
そこで出番となるのは、味噌や醤油、納豆や漬物といった昔ながらの発酵食品。日本の食卓で長く親しまれてきたこれらの発酵食品には、腸を活性化するはたらきがあるとされています。腸内環境を整えることは、消化吸収を高め、おなかに無理をかけないことにもつながります。
また、ダイエットにも役立つとされているので、気になる方はぜひ積極的に摂ってみてください。

たけのこと鶏肉の絶妙コンビネーション

この清明に良いとされるのが、「鶏肉」です。
鶏肉は、東洋医学で春を表わす「肝」に属する食材。身体を補うことから滋養強壮に役立ち、病気の回復や体質改善、こころや身体の疲れをとるなどのはたらきがあるとされています。また、部位によっては脂肪分も少なくてヘルシー。食べ過ぎが気になる時期のダイエットにもぴったりです。積極的に摂ることで、身体に元気を取り戻しましょう。

また、この頃が旬の「たけのこ」にも、うれしいパワーが。たけのこに含まれるチロシンやアスパラギン酸などのアミノ酸は、疲労回復やストレスの緩和、集中力アップ。カリウムは、高血圧やむくみの予防につながるとされています。季節の変わりめによる寒暖差など、つかれやすい身体をしっかりいやしたいこの時期。たけのこと鶏肉の炊き込みご飯などで、栄養も味わいも絶妙な組み合わせを楽しんでみませんか。