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ふきのとうの苦みでからだ目覚める
東洋医学では、春を「肝(かん)の季節」と呼びます。「肝」の役割である、「気をめぐらせる」「血液量を調整する」「筋肉に栄養をいきわたらせる」といったことが、活発になる時期だとされているのです。立春は、寒い冬から春へとからだが動き始めるころ。睡眠のリズムや感情の起伏、目や筋肉に変化を感じることでしょう。その不調は、からだのエネルギー不足が原因かもしれません。旬の食材でしっかりと栄養をとりましょう。
この季節の旬の食材といえば、蕗の薹(ふきのとう)です。雪解けの土の中から顔をのぞかせる蕗の薹は、春一番の山菜。若芽にたくわえられたエネルギーが、独特の香りと苦みとともに、冬の間こわばっていたからだを目覚めさせ、新陳代謝を促してくれます。つぼみが硬く、葉が開いていないものを選び、天ぷらや蕗みそにすると食べやすいでしょう。もうひとつ、この季節におすすめの食材はニラ。ニラは冬から春にかけて葉が厚く、やわらかくなり、旬を迎えます。辛味があり、からだを温める作用があるので、冷えや血のめぐりが気になる人にはうれしい食べ物です。ちなみに蕗の薹の苦味にも、からだのめぐりに良いはたらきがあるといわれています。
縁起の良いおいなりさんやお団子も
2月最初の「丑の日」や、農作業が始まる旧暦2月に行われるのが「初午」。五穀豊穣、商売繁盛などを祈願する行事です。「稲がなる」ことにちなんで、豊作を願って稲荷神社を参拝。そのなかで、稲荷神の使いであるキツネの大好物である油揚げやおいなりさんを奉納し、人々も食する習慣が生まれました。東日本では米俵に見立てた俵型、西日本ではキツネの耳にちなんだ三角形が多いようです。また、初午の日は蚕の神様を祀る日でもあります。蚕が育つようにと願って、白い繭玉に似せた団子を作り、神様にお供えする地域もあるようです。
春の始まりの季節。初午の日には、五穀豊穣や商売繁盛を願って、おいなりさんやお団子をいただくのもよいでしょう。
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