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心身のめぐりは、住まいから
東洋医学で「血液量を調整する」役割を持つとされている「肝」。そこがうまく働かないと、感情の起伏にはじまり、お通じや手足の冷え、目やのどの渇き、さらには睡眠のリズムにも変化を感じるようになります。こうしたさまざまな変化や不調があらわれるのは、心や体にエネルギーが足りていないというサインかもしれません。
そこで、「肝」にとって重要な心身のエネルギーをめぐらせるため、まずは家の中のエネルギーをめぐらせることが大切となります。春の文字がつくとはいえ、まだ寒い日も多い立春ですが、天気の良い日中などには窓を開け、できるだけ風通しを良くしましょう。そうすることで、冬の間とどこおりがちだった家の中に新しい循環が生まれ、負のエネルギーが出ていきやすくなるはずです。
春を告げる花や鳥を部屋の中に
寒くても窓を開けておけば、自然豊かな地域では、うれしい初音を聞けるかもしれません。古来、日本人はその季節の初めに聞く、鳥や虫の鳴き声を愛でる習慣がありました。なかでも春の到来を感じさせる声を聞かせてくれる「春告鳥」が、うぐいす。そして昔から「梅にうぐいす」といわれるように、うぐいすを招きよせる蜜を持っている梅も、春の訪れを教えてくれる風物詩です。長い冬を耐え忍び、香り高く美しい花を咲かせる梅は、まさに春の喜びを告げる花の代表。愛でて良し、香りも良し、熟した実が梅干しや梅酒になるので健康長寿にも良し、と梅は昔から縁起の良い花木として愛されてきました。都会にいると、本物のうぐいすや梅の木に出会う機会はそう多くないかもしれません。けれど、梅やうぐいすをあしらった掛け軸や生け花などを部屋に飾るといった、春を感じるひと工夫が、ご自身やお客さまの心を和ませてくれそうです。
また、新しい年のスタートである立春の早朝、禅寺などでは門の入り口に、厄除けの意を込めて「立春大吉」と書いた紙札を貼る習慣があります。立春大吉の文字は左右対称で、表からも裏からも同じに見えます。昔、そのお札を貼った家に鬼が入ってきたとき、振り返ると同じ文字が見えたので、まだ家に入っていないと勘違いして出て行ってくれたとか。そんな言い伝えから、厄除けの文言として使われ、玄関に貼られる風習が生まれたそうです。
ぜひ、みなさんもお好きなかたちで、年の初めに家のすみずみまで、めでたい春を取り入れてはいかがでしょうか。
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